月経とは
月経とは、卵巣で成熟した卵子が排卵された後、妊娠が成立しなかった場合に、子宮内膜がはがれ落ちて出血する現象を指します。排卵後およそ2週間で起こるのが一般的です。一方で、排卵を伴わない出血は「不正出血」であり、月経と混同されることも少なくありません。
そのため、月経が遅れたり不規則になったりした場合には、まず妊娠の可能性がないかを確認することが大切です。気づかないうちに妊娠しているケースもあります。妊娠でないと診断された場合には、「無月経」や「月経不順」として適切な診療を進めていきます。
正常な月経

一般的に、月経周期は25~38日、月経の持続日数は 3~7日程度が正常とされています。
また、1回の月経による出血量はおおよそ50ml前後(ナプキンを1日に5~6回交換する程度)といわれています。
これらの目安から大きく外れる場合には、月経不順の可能性があります。月経は体のホルモンバランスや健康状態を映し出す大切なサインですので、気になる変化があれば早めにご相談ください。
無月経

月経が不規則なまま続き、やがて止まってしまった場合や、14歳頃を過ぎても初潮が見られない場合には、早めのご相談をおすすめします。
無月経が長く続くと、女性ホルモンの低下によって骨量が減ったり、体の老化が早まる恐れがあります。
また、子宮がんや卵巣がんのリスクが高まることも知られています。
「そのうち来るかも」と放置せず、気になる時点で一度検査を受けていただくことが大切です。当院では原因を丁寧に調べ、必要に応じた治療をご案内いたしますので、安心してご相談ください。
月経不順の種類
頻発月経
月経周期が24日未満と短く、繰り返し起こる場合を「頻発月経」といいます。
出血の回数が多くなる一方で、無排卵による出血や、排卵はあっても黄体機能が十分でないことが原因となることがあります。
希発月経
39日以上3か月未満の間隔で月経がくる場合を「希発月経」といいます。
無排卵や卵胞期の延長によって起こりやすく、急激な体重変化や強いストレス、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、甲状腺の異常などが関与するケースもあります。
続発無月経
3か月以上月経がない状態を「続発無月経」といいます。
ストレスによるものも多いですが、下垂体腺腫や甲状腺の病気などが原因となることもあります。
過長月経・過多月経
出血が8日以上続く場合を「過長月経」、出血量が極端に多い場合を「過多月経」と呼びます。
子宮筋腫や子宮腺筋症、血液の凝固異常、ホルモンバランスの乱れなどが背景にあることがあります。
月経不順の主な原因
月経の乱れには、いくつかの要因が関わっています。
- ■ホルモンバランスの乱れ
- 思春期や更年期の変化、強いストレス、急激な体重の増減などによって起こります。
- ■子宮や卵巣の病気
- 子宮筋腫、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが影響することがあります。
- ■内分泌疾患
- 甲状腺の機能異常や下垂体の腫瘍など、ホルモンをつかさどる臓器の病気が関係することもあります。
- ■ライフステージの変化
- 思春期や更年期といった身体の節目には、月経リズムが乱れやすくなります。
月経不順を放置した場合に考えられるリスク
月経の乱れをそのままにしておくと、次のような影響が出ることがあります。
- ■妊娠への影響
- 排卵が不安定になることで、不妊や流産の原因につながることがあります。
- ■骨の健康への影響
- 長期間月経がない状態が続くと、女性ホルモンが低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。
- ■病気の進行
- 子宮や卵巣に病気が隠れている場合、その進行に気づかず症状が悪化することもあります。
受診をおすすめするタイミング
次のような症状があるときは、自己判断せずに婦人科へご相談ください。
- ・3か月以上、月経がない
- ・周期が極端に短い、または長い状態が続いている
- ・出血量が多すぎる、または少なすぎる
- ・強い下腹部痛や貧血の症状を伴っている
月経は体の健康状態を映す大切なサインです。少しでも「おかしいな」と感じたら、早めに受診することが安心につながります。
検査・治療について
検査について
月経不順や無月経の原因を調べるためには、いくつかの検査を組み合わせて行います。
- ■血液検査
- 女性ホルモンや卵巣機能、黄体ホルモン、甲状腺ホルモン、下垂体ホルモンなどを調べます。あわせて貧血がないか確認することもあります。
- ■超音波検査(経腟エコー)
- 子宮や卵巣の状態をチェックし、子宮筋腫や子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の有無を確認します。卵胞の発育や排卵の有無を知ることもできます。
- ■基礎体温の測定
- ご自宅で毎朝体温を測り、排卵があるかどうかやホルモンバランスの傾向を把握します。
- ■その他の検査
- 必要に応じてMRIやホルモン負荷試験などを追加で行う場合もあります。
これらの検査を組み合わせることで、原因が「ホルモンのバランスによるものか」「子宮や卵巣の病気によるものか」を見極めていきます。
治療について
治療は、原因やライフステージ(妊娠を希望するかどうかなど)によって異なります。
- ■ホルモン療法
- ピルや黄体ホルモン剤を使ってホルモンバランスを整えます。排卵障害がある場合には、排卵をうながすお薬(排卵誘発剤)を使用することもあります。
- ■漢方薬
- 冷えやストレス、体質によるホルモンバランスの乱れに用いられることがあります。体調全体を整えることで、月経のリズム改善を目指します。
- ■生活習慣の見直し
- 過度なダイエットや体重増加、不規則な生活、過労やストレスなどが原因の場合は、生活習慣を整えることで改善が期待できます。
- ■基礎疾患の治療
- 甲状腺の病気、下垂体の腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、背景に病気がある場合には、その治療を優先して行います。
月経不順や無月経は、一時的な体調の変化によることもありますが、婦人科疾患やホルモンの異常が隠れていることもあります。気になる症状があるときは、自己判断せずに早めに専門医へご相談ください。
診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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