不妊検査はどんなときに受ければいいの?

「不妊」とは、健康な男女が妊娠を希望して避妊をせずに性交を続けているにもかかわらず、1年間妊娠に至らない状態をいいます。
このような状況が続く場合には、一度「不妊検査」を受けることをおすすめします。
不妊の原因は、女性側・男性側どちらにも存在する可能性があり、複数の要因が関わっていることも少なくありません。そのため、問診・診察・検査で原因を明らかにし、適切な治療方針を立てることが大切です。
以下のようなケースに当てはまる場合は、不妊検査の受診を検討してください。
- ■年齢と妊娠の期間から判断されるケース
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- ・35歳未満の女性で、避妊せず12か月以上妊娠に至らない
- ・35~40歳の女性で、避妊せず6か月以上妊娠に至らない
- ■できるだけ早めに検査をしたほうがよいケース(女性側にリスク因子がある場合)
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- ・年齢が40歳以上
- ・月経不順や無月経がある(例:月経が極端に少ない・来ない)
- ・骨盤内の炎症性疾患の既往がある
- ・子宮筋腫や子宮腺筋症などの子宮の病気がある
- ・重度の子宮内膜症がある
- ・卵巣の手術歴がある
- ・抗がん剤や放射線治療を受けたことがある
- ■男性側にリスク因子がある場合
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- ・精巣の手術歴がある
- ・成人以降におたふくかぜを発症したことがある
- ・性機能に障害がある
- ・抗がん剤や放射線治療の経験があ
- ・過去のパートナーとの間でも妊娠に至らなかった
妊娠しやすさは、年齢や体の状態によって大きく変わるものです。「少し不安かも」と思ったときに早めに検査を受けることが、将来の妊娠への第一歩となります。
検査を行う時期について

不妊治療の初期段階では、子宮頸がん・体がん検査や腟分泌物(おりもの)の検査など、基本的な婦人科検査を行います。
これらの検査は、正確な結果を得るために月経中を避けて行うことが一般的です。
検査のスケジュールは、診察時にお身体の状態を確認したうえで、医師が最適な日程をご案内いたしますのでご安心ください。また、検査結果についても丁寧にご説明し、今後の治療の進め方を一緒に考えてまいります。
不妊治療を始める際には、多くの方が不安や疑問を抱かれます。「こんなこと聞いていいのかな?」と思うような小さなことでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
主な検査内容
問診

不妊治療の第一歩は、まず問診から始まります。
これまでの妊活の経過や月経周期、体調の変化、ご夫婦の生活習慣について詳しくお伺いします。過去に受けた検査や現在服用しているお薬についても確認し、今後の治療に役立てていきます。
リラックスしてお越しいただくことが大切です。
「こんなこと聞いていいのかな?」と思うようなことでも、どうぞ遠慮なくお話しください。些細に思える情報が、検査や治療のヒントになることもあります。
血液検査(健康状態と感染症の確認)

妊娠を目指すうえで、ご自身の体の状態を知ることはとても大切です。
不妊治療の初期には血液検査を行い、肝臓や腎臓の機能、貧血の有無、子宮内膜症の兆候などを確認します。妊娠に向けた体づくりの準備として欠かせない検査です。
あわせて、妊娠中に赤ちゃんに影響を及ぼす可能性のある感染症(B型肝炎・C型肝炎・HIV・梅毒)についても調べていきます。
内診・経腟超音波検査(子宮と卵巣の状態を確認)

子宮や卵巣の健康状態を詳しく調べる、基本的かつ重要な検査です。
大きさ・形・位置、子宮内膜の厚さに異常がないかを確認し、子宮筋腫や卵巣嚢胞の有無をチェックします。これらは妊娠に影響を与える可能性があるため、正確な診断が必要です。
経腟超音波検査は、細い機器を腟内に挿入して行いますが、痛みはほとんどなく短時間で終了します。初めての方でも安心して受けていただけるよう、スタッフが丁寧にサポートします。
子宮頸がん・体がん検査

妊娠を希望される方にとって、子宮の健康状態を確認することは非常に重要です。当院では、不妊治療の初期に子宮頸がん・子宮体がんの検査を行い、異常がないかを確認しています。
子宮頸がんや子宮体がんは将来の妊娠・出産に影響を与える可能性があるため、早期発見と適切な対応が大切です。婦人科検診を最近受けていない方は、この機会に一度チェックされることをおすすめします。
検査は短時間で終了しますので、ご不安な点があれば遠慮なくご相談ください。
腟分泌物・細菌・クラミジア検査
妊活を始める前に、腟内環境を整えることも大切です。腟分泌物を採取して、異常な細菌やクラミジア感染の有無を調べます。
特にクラミジア感染症は自覚症状がないまま進行することが多く、気づかないうちに卵管の炎症や癒着を引き起こし、不妊の原因となることがあります。そのため、不妊治療の初期段階での確認が欠かせません。
オプション検査(必要に応じて追加できます)
AMH(アンチミュラー管ホルモン)検査
AMH検査は、卵巣にどれくらい卵子のもと(卵胞)が残っているかを調べる血液検査です。「卵巣年齢」や「妊娠のしやすさ」を把握する目安となり、不妊治療の方針を立てるうえで非常に重要な検査です。
AMH値が高いほど卵子の数は比較的多いと考えられ、低い場合は卵巣機能の低下や早発閉経の可能性が隠れていることもあります。ただし、AMHが低い=妊娠できないということではありません。妊娠には年齢・体質・ホルモンのバランスなど多くの要因が関わるため、結果は医師が総合的に判断します。
甲状腺機能検査
甲状腺ホルモンは基礎代謝や体のリズムを整えるだけでなく、排卵や妊娠にも深く関わっています。分泌が多すぎたり少なすぎたりすると、排卵障害・月経不順・着床不良の原因となり、妊娠後も赤ちゃんの発育に影響することがあります。
血液検査で甲状腺機能を確認することで、必要に応じて早期に対応できます。異常が見つかった場合も、薬による治療でコントロールが可能です。
「疲れやすい」「冷えやすい」「生理が不規則」といった症状がある方は、一度検査を受けてみると安心です。
風疹抗体検査
風疹ウイルスは妊娠初期に感染すると、胎児に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に妊娠12週頃までに感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群(心疾患・白内障・難聴など)を発症するリスクがあります。
そのため、妊娠を希望される方には、血液検査で風疹に対する抗体が十分にあるかを確認する「風疹抗体検査」をおすすめしています。抗体が不足している場合は、事前に予防接種を受けることで感染を防ぐことができます。
赤ちゃんの健康を守るために、妊娠前の準備として欠かせない大切な検査です。
ビタミンD検査
ビタミンDは骨の健康だけでなく、妊娠の成立にも関わる重要な栄養素です。近年の研究では、ビタミンD不足が排卵障害や着床率の低下、流産リスクの上昇と関連している可能性が指摘されています。
血液検査で体内のビタミンD濃度を確認し、不足があれば食事やサプリメントで補うことが可能です。特に日光を浴びる機会が少ない方や栄養バランスが気になる方は、一度チェックしておくと安心です。
排卵誘発法のメリット
卵管は卵子と精子が出会い、受精卵を子宮へ運ぶ大切な通り道です。卵管が詰まっていたり狭くなっていると、自然妊娠が難しくなることがあります。
- ■当院では以下の方法で卵管の通過性を確認します。
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・卵管通水検査:細いチューブから子宮に生理食塩水を注入し、卵管の通りを確認します。
・卵管造影検査:造影剤を注入してレントゲン撮影を行い、卵管の形や通りを詳しく調べます。
どちらも卵管の閉塞や狭窄を見つけるために有効で、治療方針を決めるうえで重要な検査です。
やや圧迫感や違和感を伴うことがありますが、医師が体調を見ながら丁寧に対応いたしますので、安心してご相談ください。
パートナーの検査
感染症採血

不妊治療は、女性だけでなく男性の健康状態を知ることも欠かせません。当院では、パートナーの方にも 感染症に関する血液検査 を受けていただいています。
検査の対象は、B型肝炎・C型肝炎・HIV・梅毒などです。これらは自覚症状がないまま感染していることもあり、精液検査を行う際や、将来的に体外受精などを検討する際にも重要な情報となります。
妊娠を希望されるご夫婦が、安心して治療に進んでいただくための大切なステップです。
卵巣低刺激法のメリット
不妊の原因は女性側だけでなく、男性側にも約半数関わるといわれています。そのため、不妊治療の初期段階で精子の状態を確認する「精子検査」はとても重要です。
検査では、次のような項目を調べます。
- ・精子の濃度(数)
- ・運動率(動きの活発さ)
- ・正常形態率(形の正常な割合)
これらのデータをもとに、自然妊娠の可能性を評価し、必要に応じて人工授精や体外受精などの治療方針を検討します。
採精はご自宅またはクリニック内で行っていただけます。当院ではプライバシーに配慮した環境を整えておりますので、初めての方でも安心して検査を受けていただけます。
診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~12:30 | ![]() |
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15:00-18:30 | ![]() |
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●:初診・再診
×:休診(木、日、祝日/土曜日の午後)
※受付時間は診療開始30分前より診療終了30分前までです。