更年期障害について

女性は誰しも、閉経の前後に女性ホルモンの変化を経験します。特に エストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少すると、体のリズムが大きく変わっていきます。
脳は不足したエストロゲンを補おうと働き、卵胞刺激ホルモン(FSH) や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を増やします。
ところが、その結果としてホルモンバランスが乱れ、心身にさまざまな不調があらわれることがあります。
症状が軽ければ日常生活の工夫で乗り越えられることもありますが、生活に支障が出るほど強い症状が続く場合は「更年期障害」と呼ばれ、治療が必要になります。
更年期は自然な体の変化ですが、つらい症状を我慢する必要はありません。適切な治療や生活改善で、多くの方がより快適に過ごせるようになります。
症状のセルフチェック
- 顔や体がほてる
- のぼせや発汗が気になる
- 手足の冷えがつらい
- 強い肩こりや頭の重さ
- めまい・慢性的なだるさ
- 動悸や息切れを感じることがある
- イライラ・気持ちの落ち込み
- 寝つきが悪い、眠りが浅い
- 生理の周期が乱れている
- 自律神経の不調を感じる
このような症状がつらく、日常生活に支障が出ている場合は、早めにご相談ください。
当院では、まず現在のお悩みや体調の変化について丁寧にお伺いします。その後、お体の状態や生活環境に合わせて、漢方薬・ホルモン補充療法(HRT)・カウンセリングなど、いくつかの治療方法の中から無理のない方法を一緒に考えていきます。
女性の「4つの時期」

女性の体は一生の中で大きな変化を迎えます。特に「7の倍数の年齢」に節目が訪れるといわれており、大きく4つの時期に分けられます。ライフステージごとに体や心の変化があり、注意しておきたいポイントも異なります。
思春期(10代)
生理が始まり、生殖機能が発達していく時期です。女性ホルモンが不安定ながら急激に増えるため、生理不順や月経痛などのトラブルが起こりやすくなります。
性成熟期(20〜40代)
ホルモン分泌が安定し、妊娠や出産を経験する方が多い時期です。その一方で、子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科の病気が見つかりやすくなるため、定期的な検診が大切になります。
更年期(40〜50代)
閉経に近づくにつれて女性ホルモンの分泌が大きく減少します。その結果、ほてり・動悸・不眠などの心身の不調があらわれることがあり、症状が強い場合は「更年期障害」と呼ばれます。
老年期(50代以降)
女性ホルモンが少なくなることで、皮膚や髪、骨や血管など全身に影響が出やすくなる時期です。骨粗しょう症・動脈硬化・脂質異常症など生活習慣病のリスクも高まるため、予防と日々の健康管理がより重要になります。
更年期障害の検査
更年期障害の有無は、血液検査で簡単に確認することができます。血中のホルモン値を測定することで、更年期による変化が起きているかどうか、またその程度を詳しく調べることが可能です。
「最近なんとなく体調がすぐれない」「眠れない日が続いている」といった症状を放っておくと、体だけでなく心にも大きな負担となってしまいます。特に長引く不眠は健康を損なう原因になり、精神的なストレスにもつながります。
気になる症状がある場合は、我慢せず、どうぞお気軽にご相談ください。
更年期障害の治療
まずは、現在のお悩みや症状についてしっかりとお話を伺います。
そのうえで、更年期の症状に効果が期待できる漢方薬の処方や、必要に応じてホルモン補充療法(HRT)など、症状の程度や体質に合わせた治療方法をご提案いたします。
ホルモン補充療法(HRT)のお薬
更年期の治療に用いられるホルモン補充療法には、いくつかのタイプがあります。体調や生活スタイルに合わせて選ぶことができます。
- ・飲み薬(消化管から吸収):プレマリン錠、プロペラ錠、エフメノカプセル…など
- ・貼り薬(皮膚から吸収):エストラーナテープ、メノエイドコンビパッチ…など
- ・塗り薬(皮膚から吸収):ル・エストロジェル…など
それぞれのお薬の特徴
- ■飲み薬
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錠剤タイプで服用しやすいのが特徴です。
ただし、肝臓で代謝される「初回通過効果※」があるため、血栓症などのリスクがやや高まることがあります。
- ■貼り薬・塗り薬
-
皮膚から直接吸収されるため、肝臓を経由せずに作用します。
その結果、
- ・中性脂肪や動脈硬化のリスクが上がりにくい
- ・静脈血栓症のリスクが少ない
- ・乳がんリスクが飲み薬に比べて低いとされる
といったメリットがあります。
一方で、皮膚がかぶれてしまう場合があるため、肌の状態を見ながら使用する必要があります。
※初回通過効果とは?
飲み薬は、消化管から吸収されたあと、血液にのって全身へ運ばれます。その際、まず肝臓を通過しますが、このとき肝臓の酵素によって一部の薬が分解・代謝されてしまいます。この現象を「初回通過効果」と呼びます。
漢方薬による治療
更年期のお悩みには、西洋医学によるホルモン補充療法だけでなく、体質や症状に合わせて漢方薬を取り入れる治療も行われています。
漢方薬は体のバランスを整えながら、不調を少しずつやわらげていくのが特徴です。
よく処方される漢方薬の例
- ■補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 体のエネルギー不足を補い、疲れやすさや倦怠感の改善に用いられます。体力が落ちて元気が出ない方に処方されやすい漢方です。
- ■加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 更年期に多い「イライラ」「不安感」「気分の落ち込み」など、精神的な症状をやわらげる効果が期待できます。気持ちの安定をサポートしてくれる漢方です。
- ■桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 血の巡りを整えることで、のぼせ・頭重感・肩こり・冷えなどの症状を改善するとされています。血流の滞り(お血:おけつ)が関係すると考えられる場合に使われます。
サプリメントによるサポート
更年期の不調を和らげるセルフケアのひとつとして、サプリメントを利用する方法があります。医薬品とは異なりますが、毎日の生活に自然に取り入れやすいのが魅力です。
- ■アグリマックス(大豆イソフラボン)
-
大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと似た作用を持つ「植物性エストロゲン」と呼ばれる成分です。
女性ホルモンの減少をやさしく補い、ほてりやのぼせといった更年期特有の症状の緩和や、骨粗しょう症の予防サポートに役立つと考えられています。
プラセンタ注射
当院では、更年期障害の治療としてホルモン補充療法のほかに、プラセンタ注射も取り入れています。
プラセンタとは?
「プラセンタ」とは胎盤のことです。胎盤は母体と赤ちゃんをつなぎ、成長を支える大切な役割を担っています。出産後に体外へ排出された胎盤にも、豊富な栄養成分が含まれています。
- ■期待される効果
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- ・自律神経のバランスを整える
- ・免疫力を高める
- ・疲労の回復をサポート
- ・肌の調子を整える
このように、体のさまざまな働きをサポートする作用が期待でき、更年期による不調の改善にも役立つ治療法のひとつとされています。
診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~12:30 | ![]() |
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15:00-18:30 | ![]() |
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●:初診・再診
×:休診(木、日、祝日/土曜日の午後)
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