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体外受精の副作用とリスクは?工程別の症状と対処法を解説

体外受精に踏み切るかどうか迷っている方から、よくいただくご質問があります。「体に負担はありませんか」「薬の副作用が心配です」「太ると聞いたのですが本当ですか」。

不安を持つのは自然なことです。体外受精(IVF)や顕微授精は、ホルモン剤を使い、麻酔をして採卵を行う医療行為ですから、まったくリスクがないわけではありません。タイミング法や人工授精と比べると、体への負担が大きくなるのは確かです。ただし、どの工程でどんなことが起こりうるのか、どう予防し、どう対処するのかを知っておけば、必要以上に怖がる必要はなくなります。

このコラムでは、排卵誘発、採卵、胚移植、妊娠後という工程ごとに、起こりうる副作用とリスク、そして当院での対応をご説明します。

副作用とリスクの全体像

体外受精で起こりうる副作用やリスクを、行程ごとに整理すると次のようになります。

行程起こりうること頻度の目安
排卵誘発頭痛、腹部の張り、注射部位の腫れ、気分の変動比較的よくある
排卵誘発卵巣過剰刺激症候群(OHSS)軽症を含めれば一定数、重症は稀
採卵出血、腹痛、感染、麻酔に伴う反応稀
胚移植軽い出血、下腹部の違和感まれに
妊娠後多胎妊娠、子宮外妊娠、流産条件により変動

全体として、重い合併症の頻度は高くありません。ただし、まったくないとも言えません。以下、それぞれについて詳しくご説明します。

排卵誘発剤による副作用

体外受精では、複数の卵子を得るために排卵誘発剤を使用します。クロミフェンなどの内服薬と、hMGなどの注射があり、卵巣の状態やこれまでの治療歴に応じて選択します。どの方法を用いるかは、初診からの検査結果をもとに決めていきます。

内服薬による副作用

クロミフェンでは、頭痛、めまい、吐き気、ほてりといった症状が出ることがあります。また、子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減ったりすることも知られています。いずれも服用をやめれば戻ります。

注射による副作用

hMG注射などでは、卵巣が刺激されることで下腹部の張りや軽い痛みが出やすくなります。注射した部位が赤くなったり、しこりのようになったりすることもありますが、多くは数日で落ち着きます。

薬で太るのか

「不妊治療の薬で太る」という話を耳にされたことがあるかもしれません。ホルモン剤の影響で体に水分が溜まりやすくなり、一時的に体重が増えることはあります。ただし、脂肪が増えているわけではなく、治療が終われば戻るのが一般的です。

急に体重が増えた場合は、次にご説明するOHSSの兆候である可能性もあります。数日で2キロ以上増えたときは、ご連絡ください。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

体外受精で最も注意すべき副作用が、卵巣過剰刺激症候群です。Ovarian Hyperstimulation Syndromeの頭文字をとって、OHSSと表記されることもあります。

何が起こるのか

排卵誘発剤に卵巣が過剰に反応し、多数の卵胞が育つことで卵巣が大きく腫れます。同時に、血管から水分が漏れ出しやすくなり、腹腔内に水が貯留する腹水や、胸に水が溜まる胸水が生じることがあります。

血管の外へ水分が移動するため、血液が濃縮され、血栓ができやすくなることも知られています。

症状の目安

程度主な症状
軽症下腹部の張り、軽い腹痛、体重の増加
中等症明らかな腹部の膨満、吐き気、尿量の減少
重症強い腹痛、呼吸が苦しい、ほとんど尿が出ない

軽症であれば、水分をしっかりとって安静にしていれば自然に回復します。中等症以上では通院しながらの管理が必要となり、重症の場合には入院して点滴などの治療を行います。

起こりやすい方

若い方、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のある方、AMHの値が高く卵胞が多く育つ方は、注意が必要とされています。過去にOHSSを起こしたことがある方も同様です。

当院での予防

当院では、超音波検査と血液検査で卵胞の発育とホルモン値を確認しながら、薬剤の種類と量を調整しています。卵巣の反応が強すぎると判断した場合は、その周期の移植を見送って全ての胚を凍結し、体が落ち着いた次の周期以降に移植する方法をとります。

妊娠すると症状が悪化しやすいため、この判断は予防として有効です。凍結した胚を融解して移植する方法は現在の主流でもあり、成績の面でも不利にはなりません。

採卵に伴うリスク

採卵は、経腟超音波で確認しながら細い針で卵胞から卵子を吸引する処置です。当院では静脈麻酔を使用しますので、痛みの心配はほとんどありません。

起こりうるのは次のようなことです。

出血
針が通った腟壁や卵巣から出血することがあります。多くはわずかな出血で自然に止まりますが、まれに腹腔内で出血が続き、手術による処置が必要になることがあります。

感染
針を刺すため、まれに骨盤内で感染が起こることがあります。子宮内膜症のある方はリスクがやや高いとされ、必要に応じて抗菌薬を使用します。

周囲の臓器の損傷
非常に稀ですが、針が腸管や膀胱、血管に触れることがあります。超音波で確認しながら行うため、通常は起こりません。

麻酔に伴う反応
静脈麻酔では、まれに吐き気やふらつきが出ることがあります。採卵後は院内で休んでいただき、状態を確認してからお帰りいただきます。

採卵後の当日は、車の運転は避けてください。腹痛や出血が続く場合、発熱した場合は、遠慮なくご連絡ください。次回の診察までに少しでも気になることがあれば、そのままにせずお伝えいただければと思います。

胚移植と妊娠後のリスク

胚移植そのものの負担

胚移植は、細いカテーテルで子宮内に胚を戻す処置です。麻酔は必要なく、数分で終わります。移植後に少量の出血や下腹部の違和感を感じる方がいらっしゃいますが、多くは問題ありません。

多胎妊娠

複数の胚を移植すると、双子以上の妊娠となる可能性が高まります。多胎妊娠では、早産、妊娠高血圧症候群、母体への負担の増加といったリスクが上がります。

このため、日本産科婦人科学会の指針では、35歳未満で1回目または2回目の移植の場合、移植する胚は原則1個とされています。

子宮外妊娠

受精卵を子宮内に戻していても、胚が卵管などへ移動して着床する子宮外妊娠が起こることがあります。確率は数%程度とされ、卵管に問題がある方ではやや高くなります。

妊娠が確認された後、超音波で正しい位置に着床しているかを確認します。

流産

体外受精による妊娠でも、流産の可能性はあります。ただし、これは体外受精を行ったことが原因ではなく、自然妊娠と同じく年齢の影響を強く受けます。

体外受精を受ける方は年齢が高い傾向があるため、統計上の流産率がやや高く出ますが、同じ年齢で比べた場合、自然妊娠と大きくは変わらないと考えられています。

生まれてくる赤ちゃんへの影響

「体外受精で生まれた子どもに影響はないのか」という不安を持たれる方は少なくありません。

世界で最初の体外受精児が誕生してから40年以上が経ち、多くの研究が行われてきました。現時点でわかっていることを整理します。

胎児の先天異常の頻度について、体外受精で生まれた赤ちゃんではわずかに高いという報告があります。ただしこの差は、体外受精という技術そのものによるものか、それとも不妊の背景にある要因や親の年齢によるものかを区別することが難しく、結論は出ていません。

体外受精児は低出生体重や早産の割合がやや高いという報告もありますが、これは多胎妊娠が含まれることが影響しています。移植する胚を1個に制限する現在の方針は、この点の改善にもつながっています。

その後の発育や知能の発達については、自然妊娠で生まれた子どもと差がないという報告が一般的です。

日本では毎年、多くの赤ちゃんが高度生殖補助医療(ART)によって誕生しており、近年では出生数のおよそ10人に1人にのぼります。決して特別なことではなくなっています。

心と生活への負担

見落とされがちですが、身体的な副作用と同じくらい大きいのが、心と生活への負担です。

治療のスケジュールは月経周期に合わせて決まるため、仕事の調整が難しくなります。採卵の日程は卵胞の育ち具合で直前に決まることも多く、予定が立てにくいという声をよくいただきます。

また、結果を待つ時間の重さ、うまくいかなかったときの落胆、ご夫婦の間で温度差が生まれることなど、精神的な負担は治療が長引くほど積み重なっていきます。

これらは我慢して乗り切るものではありません。通院の負担を減らす工夫、治療を一度お休みするという選択、話を聞いてもらうこと。できることはあります。抱え込まず、担当の医師やスタッフにお伝えください。カウンセリングの時間を設けることも可能です。

また、負担を感じているのは女性だけとは限りません。男性側も、精液検査の結果や採卵日の予定に合わせることへのプレッシャーを抱えていることがあります。おふたりで話す時間を持つことも、治療を継続するうえで大切です。

副作用についてよくいただくご質問

Q. 採卵は痛いですか

静脈麻酔を使用しますので、処置中の痛みはほとんどありません。目が覚めたら終わっている、という感覚に近いかと思います。採卵後に生理痛のような鈍い痛みが残ることはありますが、多くは1日から2日で落ち着きます。

Q. OHSSはどのくらいの頻度で起こりますか

軽い腹部の張り程度であれば経験される方は多いのですが、入院が必要な重症例は稀です。薬剤の調整と全胚凍結によって、発症そのものを避けられるケースも少なくありません。

Q. 体外受精を繰り返すと卵巣が弱りますか

採卵によって卵子が早く減るということはありません。排卵誘発は、その周期に自然に消えていくはずだった卵胞を育てているためです。ただし、採卵を繰り返す間に年齢は進みますので、その分の変化は生じます。

Q. 副作用が出たら、すぐに連絡したほうがよいですか

強い腹痛、急激な体重増加、尿が出にくい、息苦しい、38度以上の発熱。これらがあれば、必ずご連絡ください。判断に迷う場合も、まずはお電話でご相談いただければと思います。

Q. 副作用が怖くて踏み切れません

その気持ちを抱えたまま治療を始める必要はありません。診察の際に不安な点をお伝えいただければ、卵巣への刺激を抑えた方法を選ぶなど、負担を減らす進め方をご提案できます。

茅ヶ崎・鎌倉エリアの方にも選ばれている湘南レディースクリニック

副作用への対応で最も重要なのは、起きてから対処することではなく、起きにくい進め方を選ぶことです。そのためには、卵巣の反応を細かく確認しながら薬剤を調整できる体制が欠かせません。

湘南レディースクリニックは、JR・小田急藤沢駅南口から徒歩2分の藤沢本院と、JR辻堂駅北口から徒歩3分の辻堂C-X院の二院体制で診療しています。茅ヶ崎からは東海道線で辻堂が1駅、藤沢が2駅、鎌倉からは江ノ島電鉄または大船経由でアクセスいただけます。

当院は、湘南エリアで初めて体外受精を導入した施設です。開院から19年目を迎え、累計の妊娠件数は5,300件を超えました。年齢別の治療成績も一覧で公開しております。卵巣の反応を観察しながら薬剤を調整し、OHSSの予防に努めています。卵子への負担を抑えるPiezo ICSIをはじめ、体への負担に配慮した技術も導入しています。

胚の培養や凍結保存の設備も院内に備えており、卵巣の状態に応じて全胚凍結に切り替える判断も、その場で行えます。入院を要する治療が必要と判断される場合は、連携する医療機関をご紹介いたします。

体外受精の流れや費用については、こちらの記事で詳しくご説明しています。

副作用が心配で踏み切れないという方も、まずはご相談ください。何がどの程度起こりうるのかを具体的にご説明したうえで、負担を抑えた進め方を一緒に考えてまいります。ご予約はお電話またはWEBから承っています。

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